コミュニケーションの取り方、準備(志)

前回の記事では、コミュニケーションの重要性やその基本的な要素についてお伝えしました。今回は、より具体的に「コミュニケーションの取り方」について深掘りし、特にその準備段階で重要となる「志事」について考えていきます。この志を持った準備が、どれほど相手との良好な関係構築に影響するかをお伝えします。

目次

コミュニケーションの準備 – 志事の意識が重要

コミュニケーションにおいて、ただ単に「仕事」として対応するのではなく、「志事」として相手と向き合う姿勢が大切です。「志事」とは、単なる業務的なタスクを超え、相手に対する思いやりや感情を込めて行う行為を意味します。営業活動はもちろんのこと、日常の新しい出会いや知人との関係でも、この志事の姿勢を持つことで、信頼関係がより強固なものになるでしょう。

例えば、初めて出会う相手との会話で大切なのは、相手の背景や感情を理解しようとする姿勢です。この姿勢を持つことで、相手は自分が尊重されていると感じ、心を開きやすくなります。つまり、コミュニケーションの準備段階でいかに「志」を持てるかが、関係構築の成功を左右するのです。

傾聴力の誤解 – 感情のキャッチボールを意識する

多くのコミュニケーション講習や本で「傾聴力」が強調されますが、単に相手の話を聞くだけでは不十分です。一般的に、コミュニケーションは「8割が聞くことで、2割が話すことが良い」とされていますが、この公式に囚われすぎると、かえって会話がぎこちなくなり、相手との共感が得られないこともあります。

傾聴力を発揮するためには、単なる「言葉のキャッチボール」ではなく、**「感情のキャッチボール」**を意識することが重要です。相手の話す内容だけでなく、その背後にある感情や意図を理解し、それに共感を示すことで、より深い信頼関係を築くことができます。

例: 営業マン山田くんのケース

あるガス会社の営業マン山田くんの実話を基に、感情のキャッチボールがいかに重要かを見てみましょう。山田くんは、ある地域でガス料金の診断を行うために顧客を訪問していましたが、最初はなかなか話を聞いてもらえませんでした。以下は、悪い例と改善後の良い例です。

悪い例
山田:「こんにちは、N社の山田です。ガス料金が高い方が多い地域ですので、料金診断を行いませんか?」
顧客:「うちは大丈夫です。今のガス会社を信頼しているので。」
山田:「一度お話を聞いていただくだけでもどうでしょうか?」
顧客:「いや、結構です。」

この例では、山田くんは「言葉のキャッチボール」に終始しており、顧客の感情や背景に配慮していません。次に、改善後の例を見てみましょう。

良い例
山田:「こんにちは、N社の山田です。お忙しい時間にお邪魔して申し訳ありません。この地域を担当しており、皆さんにガス料金に関するお知らせをさせていただいております。」
顧客:「うちは大丈夫です。今のガス会社を信頼しているので。」
山田:「それは素晴らしいですね。信頼できるガス会社があるのは大切です。ただ、料金高騰の件について少しだけお知らせさせていただければと思います。」
顧客:「どんな内容?」
山田:「実際の料金高騰に関する記事などを基に、簡単なご説明をさせていただきます。2分ほどで終わりますので、少しだけお時間いただけませんか?」

この例では、山田くんは顧客の感情を理解し、共感を示すことで信頼を得ています。「信頼できるガス会社がいる」という顧客の感情を肯定し、その上で情報提供する姿勢を示すことで、会話の流れがスムーズになりました。

志事の準備 – 相手に寄り添う姿勢を持つ

コミュニケーションの準備段階で、最も重要なのは相手に対する「寄り添いの姿勢」です。事前に相手の背景や状況をリサーチし、その情報を基に仮説を立ててコミュニケーションを進めることが効果的です。例えば、営業であれば、相手の業種や過去の取引履歴を把握しておくことで、適切な提案ができるようになります。

このように、準備段階から相手に寄り添う姿勢を持つことで、コミュニケーションはより円滑になり、信頼関係の構築もスムーズに進むのです。

まとめ:志を持ったコミュニケーションの実践

コミュニケーション上達のためには、単なる言葉のやり取りに留まらず、感情を理解し、相手の立場に寄り添うことが求められます。営業活動や日常の出会いにおいても、この「志事」の姿勢を持つことで、より豊かな人間関係が築けるでしょう。

次回は、1対複数人のコミュニケーションにおける失敗と成功について詳しく解説します。特に、会議やプレゼンテーションなどの場でどのように効果的なコミュニケーションを取るべきか、具体的な方法をお伝えします。

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